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不妊症の周期療法(6) ―基礎体温の見方について(2)―

 今回は低温期の基礎体温の見方についてお話します。以前のコラムでも紹介しましたが、周期療法の核心は低温期にあります。生理周期の中で低温期は卵子が成熟して子宮内膜が厚くなる時期です。一般に卵子は生理5日目頃から成熟し始めて、生理12日目〜15日目で排卵することが望ましいといわれています。低温期に質の良い卵子が成熟して子宮内膜が十分に厚くなり、スムーズに排卵することができれば、妊娠しやすい状態になっていると考えられます。周期療法の考えでは低温期は陰の時期と考えています。陰は静かな時期ですので、体温の変動は少なく、多くの方は低温期には他の時期に比べて体調が良いといわれています。基礎体温でもあまり凹凸がなく、0、1℃〜0、2℃の範囲内で安定していることが望ましいです。低温期にしっかりと陰血を養うことにより質の良い卵子と厚い子宮内膜を作ることができます。

 低温期は陰血をしっかりと養うために婦宝当帰膠、六味丸をベースに加減します。

 低温期には(1)低温期が長い(排卵が遅い)(2)低温期が短い(排卵が早い)(3)凹凸(波動)が激しいという病態が良く見られます。


(1)タイプは多嚢胞性卵巣などの卵巣の病気をのぞけば、子宮や卵巣の冷えにより生殖軸の働きが低下していることが考えられます。このような場合は参茸補血丸、マカなどを加えていきます。冷えにより卵巣の血流が低下している場合には血府逐淤丸、温経湯、冠元顆粒などを加えていきます。

((1)タイプ:低温期が長い)


(2)タイプは体内に熱がこもり生殖軸が過亢進していることが考えられます。卵子は成熟が早すぎても好ましくないといわれています。このような場合は加味逍遥散、温清飲、瀉火補腎丸などを加えていきます。

((2)タイプ:低温期が短い)


(3)タイプはストレスが原因になり体温が不安定になっていることが考えられます。また潜在性高プロラクチン血症の方はこのタイプが多く見られます。このような場合は星火逍遥丸、帰調血飲第一加減、炒麦芽などを加えていきます。低温期に適切な漢方薬を選択することにより、質の良い卵子と厚い子宮内膜を作ることが妊娠成功の秘訣といえます。

((3)タイプ:凹凸(波動)が大きい)

 生理になると基礎体温は高温期の体温から0.3℃〜0.5℃の範囲で体温が下がります。きちんと体温が下がり安定すれば問題はありません。しかし生理になっても体温が下がらない方や生理中期〜後期に下がった体温が再び上昇して凹凸になる方は問題があります。漢方医学では生理が来ると血液、癸水(ホルモン)がきちんと排泄されることが大切であると考えていますが、排泄がうまくいかないと体温が下がらなかったり不安定になります。このような場合はaaa帰調血飲第一加減、折衝飲、桂枝茯苓丸、爽月宝などを体質に合わせて服用すると体温が下がり安定してきます。生理期の排泄がうまくいくと、低温期における子宮内膜の増殖と卵子の成長がスムーズになります。次回以降は低温期、排卵期、高温期の基礎体温の見方についてお話します。

病名別漢方治療法「不妊症周期療法」も参照してください

掲載:マイドゥー 2004年7月号

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