去る7月26日に俵IVFクリニックの俵史子先生とコラボして行ったジネコ不妊症セミナーを行いました。おかげさまで大盛況でしたが、講演後の個別相談で多嚢胞性卵巣の印象的な相談がありました。そこで、今回は多嚢胞性卵巣症候群についてお話します。
多嚢胞性卵巣症候群は無月経、多毛、肥満、卵巣の腫大などの症状が良く知られていますが、軽度の方は自覚症状が少ないケースもあります。確定診断をするためには、病院で血液検査と画像検査を行います。多嚢胞性卵巣症候群の特徴は、卵巣内に卵胞がたくさん存在するものの、卵巣の表皮が硬く厚くなってしまい排卵が難しいということになります。重度になると、排卵障害の中でも難治性の疾患になります。
中医学では、多嚢胞性卵巣は卵巣の周りにお血や痰湿がこびり付き、卵巣膜が硬くなった病態と考えます。軽度の場合と重度の場合では対応が異なりますが、軽度の場合は活血薬、化痰薬に補腎薬を配合した周期療法が効果的です。中度〜重度になると排卵障害が顕著になり、ひどい場合は無排卵になります。このようなケースは生理期〜低温期に強力に活血化痰しながら、必要に応じて補腎を行います。
軽度の多嚢胞性卵巣は、漢方薬だけでも十分な効果を得ることができます。重度のケースでも、病院の薬と漢方薬を併用することによって、良い効果を得ることができます。
漢方薬選択のポイントとしては、卵巣内の卵胞の数が多いか、生理不順の程度がどの程度か、年齢が高いか、を判断することにあります。
多嚢胞性卵巣症候群は程度に個人差がありますが、卵胞の数が多くて排卵できないタイプは“減胞”することがポイントになります。未熟な卵胞を消去して、質の良い卵胞を残して排卵できるようにします。同時にお血や痰湿が改善して卵巣を柔らかくしていきます。減胞をしながら卵巣を柔らかくする漢方薬を正しく選ぶことで、良い効果を得ることができます。
多嚢胞性卵巣症候群でお悩みの方は、ぜひ一度漢方薬をお試しください!
掲載:マイドゥー 2015年11月号