脳梗塞は血液のかたまりなどが脳の血管に詰まって、脳の組織が働かなくなったり壊死してしまう病気です。おもな原因は高血圧、動脈硬化、心臓病、糖尿病などです。
高血圧は血管に負担がかかり動脈硬化を促進し血管が詰まりやすくなり、脳梗塞を起こしやすい環境がつくられます。脳梗塞は脳血栓と脳塞栓に分けることができます。
脳血栓は、脳の細い動脈の中で固まった血が血管に詰まってしまうもので、細い血管の動脈硬化が進行して起こります。脳塞栓は、脳以外の場所にできた凝血塊や異物が脳の血管に運ばれて栓子となって、動脈を塞いでしまうものです。脳血栓、脳塞栓はいずれも症状は似ていますが、脳血栓では症状が数日かけてゆっくり出てくる傾向があり、脳塞栓では突然に強い症状が出て、意識障害が強く現れる傾向にあります。
中国医学では脳梗塞は中風といわれ、軽いものを中経絡、重いものを中臓腑と呼んでいます。現在では中臓腑のような重いものは入院治療をするため、漢方治療の対象になるものは、脳梗塞の前兆や軽い脳梗塞にあたる中経絡及び脳梗塞後遺症になると思われます。前者はだいたい高血圧の治療に準じますので、今回は脳梗塞後遺症について考えます。
脳梗塞後遺症は一人一人重さが異なりますが、半身不随や言語障害が多くみられます。脳梗塞により気の消耗されて、気が不足して血液を運行することができず気虚血淤となり発症すると考えています。
中国の漢方薬としては補陽還五湯が有名です。この製剤は日本にはないため、黄耆の入った衛益顆粒と冠元顆粒を併用します。血圧が高い人は釣藤散、降圧丸、杞菊地黄丸などと冠元顆粒を併用します。イーパオや地竜エキス、水蛭製剤などの虫の入った製剤を併用すると更に効果的です。