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― 雲南皮膚病研修記 〜皮膚科の名医・葉 建州先生を訪ねて〜 ―

 去る10月31日〜11月4日の期間、雲南省・昆明に研修に行ってきました。今回の目的は、雲南省中医医院での皮膚科研修と西双版納(シーサンパンナ)で熱帯植物園を見学することです。

 今回は雲南中医学院出身でイスクラ産業の中医学講師の楊 達先生に案内していただいたおかげで、11月1日に雲南省中医医院副院長で皮膚科教授の葉 建州先生の臨床見学と講義を聞くことができました。

 今回案内していただいた楊 達先生は雲南中医学院の第1期を首席で卒業した秀才で、皮膚病を専門としています。来日していなければ現在は確実に教授として偉い立場にいた先生で、今回研修を受けた葉 建州先生の先輩にあたります。実は私は12年前に楊 達先生の皮膚病講義を受けて、その後にアトピー性皮膚炎や慢性蕁麻疹、ニキビ、尋常性乾癬、掌跡嚢胞症などの皮膚疾患の治療効果が劇的に上がった経験があります。それ以来、楊 達先生とは深い交流を続けていましたが、今回初めて一緒に昆明に行く機会に恵まれました。

 さて、葉 建州先生は非常に有名な中医師なので、雲南省全域から様々な皮膚病の患者が来るそうです。私たちが臨床見学した2時間弱の間に約20名の患者を診察していました。私たちの臨床見学が終わった後もさらに30名以上の患者を診て、午後3時から講義及び質疑応答の時間を作ってくれました。

 今回は尋常性乾癬、慢性湿疹、ニキビ、老人性皮膚掻痒症、ジベルバラ色粃糠疹、円形脱毛症、帯状疱疹後遺症の患者が診察に来ていました。今回はアトピー性皮膚炎の患者は来ませんでしたが、私たちの見学が終わった後に2名のアトピー性皮膚炎の患者が来たそうです。非常に手際よく診断して、約束処方をベースに自在に加減していました。外用煎じ薬も良く使っており、患者ごとに加減した処方を煎じて皮膚にシップするそうです。この外用療法も効果を高める秘訣だと言っていました。

 処方内容を見ると、日本で楊 達先生から教わった処方と非常に類似しており、日本ですぐに応用できる内容が多かったです。私の皮膚病の治療方針が間違っていないことを改めて確認することができ、さらに煎じの外用シップ法の新しい知見を得ることができ、非常に充実した研修となりました。

 講義や質疑応答では、私が疑問に思っていたことに丁寧に答えていただきました。講義のあとには夕食を一緒にとり、和気藹々とした雰囲気でいろいろ教えていただきました。今後は今まで以上に、皮膚病の漢方治療に自信を持つことができると思います。

 11月2日〜3日は西双版納の観光もしました。西双版納はラオス、ミャンマーと国境を接しており、タイのチェンマイにも車で30分の距離にあります。熱帯雨林気候で、自然の植物が多く、貴重な薬用植物も豊富な地域です。西双版納は中国最大の熱帯植物園があり、中国科学院が管理・研究しています。

 今回はいろいろな薬用植物を見ることができ、私のような漢方薬を専門としている薬剤師としては、とても興味深い経験をすることができました。

 今回の研修で学んだことを生かして、今後も皆様の頼りになる漢方相談薬局になるように研鑽を積んでいきたいと思っております。

掲載:マイドゥー 2010年12月号