今回は春になると気になるアレルギー疾患についてお話します。アレルギー疾患とは、激しい抗原抗体反応によって起こる全身的または局所的な障害をいいます。I型アレルギーである花粉症(アレルギー性鼻炎)、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、結膜炎、蕁麻疹などが有名ですが、リウマチやSLEなどの膠原病や潰瘍性大腸炎、クローン病、糸球体腎炎、橋本病なども含まれます。このようにアレルギー疾患にもいろいろありますが、「体質を改善したい」と思っている人は多いと思います。
さて、アレルギー疾患は皮膚粘膜の抵抗力、腸管や胸腺の状態、自律神経のバランスなどが関係が深いと考えられています。このことを漢方医学で考えると、皮膚粘膜の抵抗力は「肺」、腸管の状態は「脾」、胸腺の状態は「腎」、自律神経のバランスは「肝」と関係があります。また、抗原抗体反応によって滞った病理産物を「毒素」と考えます。
漢方薬はアレルギー疾患を根本から改善することを得意としていますが、以下のことが大切になります。
・肺・脾・腎の働きを高めて、免疫力を強化すること。
・肝の働きを強化して、毒素を排泄すること。
漢方薬はオーダーメイドのため個々の体質で使う漢方薬は違いますが、 肺気を補う「衛益顆粒」、脾気を補う「補中益気湯」、毒素を排泄する「松寿仙」や「紫華栄」などはよく使われています。
なお、漢方薬は体質改善が得意といわれていますが、急性期の症状を和らげる漢方薬もあります。 これから気になる花粉症では「小青竜湯」や「麻黄附子細辛湯」などは即効性が期待できます。 このように漢方薬はアレルギー疾患の急性期の症状から体質改善まで幅広く改善することができますので、ぜひ一度ご相談ください
掲載:マイドゥー 2017年3月号