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ホルモン補充療法について

 現在更年期障害による様々な自覚症状の改善や閉経後の骨粗鬆症、心脳血管病の予防にホルモン補充療法が行われています。日本ではホルモン補充療法の普及率は欧米に比べると低いのですが、最近、自律神経失調症、骨粗鬆症に病院でホルモン剤を勧めるケースが多くなってきました。ホルモン剤の副作用について多少聞いたことがある方も、医師の勧めで服用しているケースも少なくありません。ホルモン補充療法はメリットとデメリットがあり専門家の間でも様々な意見がありましたが、最近の研究で様々な問題があることが発表されました。


 「2002年7月、アメリカ国立衛生研究所は、エストロゲンとプロゲステロンを併用するホルモン補充療法は、メリットよりデメリットが大きいとして、進行中の臨床研究を中止する事を決定し、対象者にホルモン服用を中止するよう指示しました。

 今回の研究結果から、平均5.2年間の服用で、脳梗塞が41%増加、心筋梗塞が29%増加、エコノミークラス症候群などの静脈血栓症が2倍に増加、乳癌が26%増加、大腸癌が37%減少、骨折が24%減少することがわかりました。」


 この研究は、現在まで行われたホルモン補充療法の効果を調べる研究の内で、最も確かな研究といわれています。この報道をみると、ホルモン補充療法は確かに骨粗鬆症に対して効果がありますが、副作用の恐ろしさを改めて考えさせられます。

 このようなことを考えると更年期障害には副作用の少ない漢方療法が最も適しているといえます。漢方医学では更年期の女性には補腎薬、疎肝薬、活血剤などを幅広く応用します。よく使われる漢方薬として加味逍遥散、婦宝当帰膠、冠元顆粒、六味丸、杞菊地黄丸、瀉火補腎丸、天王補心丹、八味丸、海馬補腎丸、胎盤エキスなどがあります。

 更年期障害には上記の漢方薬を体質に合わせて服用すると大変効果的ですが、現在ホルモン剤を服用している人は、急に中止すると、リバウンド症状が出る恐れがありますので、いきなり中止するのではなく、しばらく漢方薬と併用し、徐々に減らして中止していくようにしましょう。