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不妊症と基礎体温(7)

 前回は低温期の体温が高く、排卵が早い基礎体温表についてお話しました。今回は具体的な漢方治療についてお話します。低温期の体温が高く排卵が早い方で問題となるのは、FSHが高いケースです。このような方は、卵巣機能が低下して、更年期のホルモンバランスに近くなっています。

 中医学では卵巣機能の低下は腎虚と考えます。腎虚には腎陰虚と腎陽虚がありますが、低温期の体温が高く排卵が早い方は典型的な腎陰虚といえます。肝腎の陰を養い、心肝の陽を鎮める漢方治療を行ないます。卵子の質を良くするために、特に低温期の漢方薬が重要になります。

 私が肝腎の陰を補う効果を実感している漢方薬は、亀鹿仙、杞菊地黄丸、瀉火補腎丸、二至丸などがあります。さらに症状によって、滋陰安神の天王補心丹、酸棗仁湯、脾の気陰を補う参苓白朮散、肝の鬱熱を鎮める加味逍遥散、温清飲などを併用します。個人の体質や基礎体温の状況、血液検査の結果などを参考にして適切に配合することが大切です。

 通常は下記のような周期療法で、卵子の質を高め適切な排卵を導くことで、基礎体温が正常に近づいていきます。


生理期: 亀鹿仙+二至丸+血府逐淤丸など

低温期: 亀鹿仙+二至丸+杞菊地黄丸など

高温期: 十全大補湯+加味逍遥丸+参馬補腎丸など


このタイプで一番難しいのは、医原性の卵巣機能低下です。つまり、排卵誘発剤の長期使用や体外受精を繰り返すことで、卵巣に負担がかかり卵巣機能が低下している方です。原始卵胞の消耗が激しいと、漢方薬の効果が得られにくいこともあります。治療原則は上記の方法に準じますが、十分な効果が得られるまで補腎薬の量を増やす必要があります。


お客様の声:30代 女性


[漢方薬を飲んだ感想]

 体外授精を何度繰り返しても妊娠に至らず、漢方薬の周期療法を始めました。子宮の血行を良くすることが大切だと知り、薬を服用するだけでなく、食生活を見直し、お腹を温かくすることを心がけました。

 それまで行ってきたIVF(体外授精)でも、採卵数が少なかったり、分割が遅かったりしていたのですが、漢方薬を飲み始めた翌周期のIVFでは、良質な卵が採卵でき、分割もスムーズに進み、その周期は凍結し、翌周期にET(卵を子宮に戻す)し、結果、妊娠・出産に至りました。

 妊娠中も血行を良くするために、婦宝当帰膠を飲み続けました。また、妊娠の後期には全前置胎盤ということで安静にし、帝王切開にて出産しました。本日一ヶ月検診で、子供も順調に育っているとのことで、一安心です。

 私にとって、漢方薬の周期療法に出会えてことは本当に良かったと感謝しています。ありがとうございました。漢方薬もさることながら、小島薬局のスタッフの皆様のあたたかな真心にはげまされました。


[薬局からのひとこと]

 S.Kさんは4年間病院に通っており、タイミング療法、ホルモン療法、体外授精を9回行いましたが、妊娠にいたりませんでした。婦宝当帰膠を中心とする周期療法を行い、服用してわずか2周期目に体外授精が成功しました。非常に体質が弱い方なので、妊娠6ヶ月まで婦宝当帰膠や安胎の漢方薬を飲んで無事出産できました。

掲載:マイドゥー 2009年9月号