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不妊症と基礎体温(8)

 今回は単相性の基礎体温についてお話します。基礎体温シリーズは今回が最終になります。

 単相性の基礎体温は別表1のように高温相がないので、排卵がありません。

 単相性の基礎体温は、定期的に生理が来る「無排卵周期症」と3ヶ月以上の長期にわたり生理が来ない「無月経症」に分かれます。

 「無排卵周期症」は定期的に生理がきますが、排卵がありませんので、妊娠の可能性はありません。基礎体温をつけていない方は気づかないケースも多く、妊娠を希望していない方は治療をしていないケースも多いです。

 「無月経症」は生まれてから一度も月経のない原発性無月経と、一度は月経が来たものの無月経の状態に陥った続発性無月経とがあります。また、第一度無月経と第二度無月経という分類もあります。第一度無月経はエストロゲンが分泌されているため、子宮内膜が増殖しています。よって、プロゲステロンの投与で消退出血(生理)がおこります。一方、第二度無月経はエストロゲンが分泌されていないため、子宮内膜は増殖していません。よって、プロゲステロンの投与では消退出血は認められず、エストロゲンとプロゲステロンの投与で消退出血がおこります。

 さて、無排卵の原因を突き止めるために、婦人科では「LH−RHテスト」が行われます。このテストで「視床下部型」「脳下垂型」「卵巣型」「多嚢胞性卵巣型」に分類することができます。

 「視床下部型」は、ストレスなどにより視床下部からのGn−Rhの分泌に問題がおきます。しかし、脳下垂体や卵巣機能には問題が少ないので、比較的治療を行ないやすいタイプといえます。中医治療では疏肝理気、養血活血、寧心安神などの方法で良い効果があります。

 「脳下垂体型」は、脳下垂体が働かないので、視床下部からGn−Rhの分泌があっても、FSHやLHが分泌されません。脳下垂体の障害は、発育不良や成長ホルモン分泌不足となります。中医治療では五遅五軟と考え、強力な補腎治療を行う必要があります。

 「多嚢胞性卵巣型」は、FSH<LHと逆転します。以前のコラムで詳しく書きましたが、中医治療では活血化淤、化痰軟堅により、卵巣を柔らかくして排卵しやすくします。

 「卵巣機能低下型」は、卵巣機能の低下により、FSHの刺激があっても卵巣の反応が悪くなります。よって、血液検査ではFSHが高値になります。病院の薬に卵巣機能を高めるものはありませんので、補腎を中心とした中医治療がより効果的です。

 無排卵で単相性の基礎体温の方は、やはり難治になることが多いです。漢方薬も複数組み合わせないと十分な効果が得られないこともあります。しかし、婦人科では対症療法しかないので、漢方薬による根本治療はとても有効な方法だと思います。お悩みの方はぜひ一度ご相談ください。


別表1

掲載:マイドゥー 2009年12月号