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不妊症と年齢(3)

 今回は年齢が高い不妊症の漢方薬の使い方についてお話したいと思います。漢方のバイブルといえる「黄帝内経(こうていだいけい)」では、女性は7の周期で成長・発育・老化することが記載されています。

 「女子は7歳になると、腎気盛んになり、歯が生え揃い、髪は長くなる。14歳になると、天癸(てんき)が至り、妊脈(にんみゃく)が通じ、太衝(たいしょう)の脈が盛んになり、月経が来るようになる。故に子供を産める。21歳になると、腎気が平均になり、故に智歯が成長して身長も伸びきる。28歳になると、筋骨がしっかりして、髪の長さも極まり、身体が強壮になる。35歳になると、陽明経の脈が衰え、顔面部がやつれはじめ、髪が抜けはじめます。42歳になると、3つの陽経脈(ようめいみゃく)が衰え、顔面部がさらにやつれ、髪も白くなりはじめます。49歳になると、任脈は空虚になり、太衝の脈も衰え、天癸は竭きて、月経が停止する。」

 つまり、妊娠しやすい年齢は21歳〜28歳くらいで、35歳を過ぎると卵巣機能が低下して、42歳を超えるとかなり難しくなるという事になります。

 「黄帝内経」の記載には「腎気」という言葉が出てきますが、漢方医学では加齢による卵巣機能の低下を「腎虚」と考えています。ですから、35歳を過ぎて卵巣機能の低下が見られる方は、強力に腎を補うことが大切になります。

 私の店では35歳以上で妊娠した方は多くいますし、40歳以上の方でも最近5年で16人の方が妊娠しています。これは強力に腎を補うことで、卵巣機能や子宮内膜の状態が改善したから、といえます。

 補腎作用を強くするためには、動物性の生薬を使う必要があります。よく使われるのは胎盤エキス、鹿茸(ろくじょう)、海馬(かいま)などになります。このような動物性の生薬は健康保険がきかないので、私のような漢方専門の薬局にご相談ください。

 さらに、女性の子宮は十分な血液があることが大切ですので、常に血液を補うことも考えます。生理痛や排卵痛が強い方や卵管に閉塞がある方は骨盤内の淤血を改善することも重要になります。

 以上の基本的な考え方の上で、基礎体温の情報や全身症状、さらに生理やおりものの状況を加味して、個々の体質に合わせた漢方薬を考えることになります。生理周期の乱れが少ない場合は、生理周期(生理期、低温期、排卵期、高温期)に合わせて漢方薬を使い分ける周期療法が特に効果的です。周期療法は以前にもコラムで紹介していますが、年齢が高い方には胎盤エキスなどの補腎効果が高い漢方薬を使って、効果を高めるようにしています。

掲載:マイドゥー 2007年9月号