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不妊症の周期療法(7) ―基礎体温の見方について(3)―

 今回は排卵期の基礎体温の見方についてお話します。排卵期は排卵前後の3日〜5日間と考えています。低温期にエストロゲンの分泌が十分で質の良い卵子が成熟して排卵が近づいてくると、透明で粘りのあるおりものが増えてきます。このおりものが一番多いときに排卵して、基礎体温が低温期から高温期に1日〜2日でスムーズに0.3℃〜0.5℃上がることが理想の排卵と言われています。周期療法では低温期を陰の時期、高温期を陽の時期と考えますので、排卵期は陰が陽に変わる時期と考えます。低温期に陰が充実して、卵胞の発育が良いと排卵がスムーズにおこり、高温期が安定して妊娠しやすい状態となります。

 排卵期には体温がだらだら上がる、凹凸に上昇するという病態が良く見られますが、いずれも陰陽の転化がうまくいかない状態と考えられます。

 排卵期の陰陽転化がうまくいかない原因は(1)ストレス過多(2)潜在性高プロラクチン血症(3)冷え(4)淤血や痰湿の阻滞などがあります。

 (1)(2)タイプは全体的に基礎体温がギザギザしており、排卵前後も体温がスムーズに上昇しません。このような場合は肝気の巡りを良くしてストレスに強くなる星火逍遥丸、芍薬甘草湯、炒麦芽などに気血の巡りを良くする冠元顆粒を併用します。

 (3)タイプは全体的に基礎体温が低く、冷えが強いためなかなか体温が上昇しない病態です。このような場合は温める力の強い参茸補血丸、温経湯、至宝三鞭丸などに気血の巡りを良くする冠元顆粒を併用します。

 (4)タイプは肥満や多嚢胞性卵巣、排卵痛がある方が多く、明らかな排卵障害が見られます。卵管の癒着や閉塞があるケースもあります。淤血や痰湿を除く冠元顆粒や血府逐淤丸、温胆湯、爽月宝などが使われます。

 排卵期は陰陽転化をスムーズに行うため、低温期や高温期に使う補腎薬の上に気血の巡りを良くする上記の漢方薬を併用する方法が良く使われます。

 上記の漢方薬を排卵期に使うと、卵管の動きがスムーズになり、卵管采のピックアップ機能を高める効果も期待できます。

 病名別漢方治療法「不妊症周期療法」も参照してください

掲載:マイドゥー 2004年8月号