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不妊症の周期療法(7) ―男性不妊について―

 今回は男性不妊についてお話します。妊娠は夫婦の共同作業ですので、妊娠が成立するためには夫婦ともに健康であることが大切です。最近では不妊で悩むカップルの約半数は男性にも原因があるとされていますが、男性は自分に原因があると認めたがらない傾向にあるようです。

 近年はストレスや運動不足、不規則な食生活、環境ホルモン、パソコン画面の見すぎなど精子の状態が悪くなる要素はますます増えてきていますので、男性の精子数が増えて下半身が元気になることは妊娠が成立するために重要な要素であると考えています。

 精液検査の基準値と異常値は、下記のようになっています。

  基準値 異常値
精液量 2.0ml以上 2.0ml未満 無精液症
ゼロ 逆行射精
pH値 7.2〜8.0 7.2以下 無精子症
閉塞性無精子症
慢性附属腺炎
先天性精管欠損症
8.0以上 附属腺の急性感染
急性精巣上体炎
精子濃度 2000万/ml
〜2億/ml
全くなし 無精子症
2000万/ml未満 乏精子症
2億/ml以上 精子過多症
精子総数 4000万以上 4000万未満 乏精子症
精子運動率 直進運動精子 50%以上 50%未満 精子無力症
高速直進運動精子 25%以上 25%未満
正常形態精子 30%以上 30%未満 奇形精子症
白血球 100万/ml未満 100万/ml以上 膿精症
液化時間 30分以内 60分以上 精子不液化
最初から液状 精子不凝固
生存率 75%以上 75%未満 精子死滅症
抗精子抗体 陰性 陽性

 これはあくまで基準でありこの数字にとらわれる必要はないと思いますが、妊娠を望む場合は男性の精子数が多いほど望ましいので、積極的に漢方治療をすることをお薦めしたいと思います。

 特に奥様が妊娠しにくい体質や疾患がある場合は、男性がより精子を強くして、奥様の分をカバーずるくらいの気持ちが必要です。このお互いを思いやる気持ちが、妊娠という喜びにつながると思っています。実際当店でも女性だけが漢方薬を服用するより、男女とも服用したほうがうまく妊娠することが多いようです。

 さて、男性不妊の原因は造精機能障害、精路通過障害、精機能障害、精子機能障害の4つがありますが、造精機能障害が9割を占めています。

 造精機能障害は名前の通り、精子の製造する機能に問題があります。精子の状態によって乏精子症、非閉塞性無精子症、精子無力症、精子奇形症の4つがあります。

 精路通過障害は精子の通り道である精管が生まれつきや炎症によって詰まっている状態で、全体の5〜10%を占めます。

 精機能障害は勃起障害(ED)や射精障害、性欲の低下などがあります。勃起障害には心理的な機能性EDと勃起に関わる組織に問題のある気質性ED、両方に問題のある混合型EDがあります。バイアグラなどが効くこともありますが、心理的な要因が大きいので、カウンセリングや性生活の環境作りが大切になります。

 精子機能障害は精子を製造する機能に問題はないが、炎症や免疫反応により精子の機能が低下している状態です。精巣や前立腺の慢性炎症や抗精子抗体などの免疫異常が含まれます。

 漢方薬は上記の全てのタイプに効果的ですが、全体の9割を占める造精機能障害に特に効果的です。

 男性不妊は効果的な病院の薬がほとんどありません。特に造精機能を高める薬はほとんどありませんので、漢方薬が最も効果的といえる分野です。

 不妊症、男性不妊症でご来店の際は、ご夫婦で相談にこられることをお薦めします。

病名別漢方治療法「不妊症周期療法」も参照してください

掲載:マイドゥー 2002年8月号