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中国・湖北民族大学訪問記

 去る7月17日〜22日の期間、中国の武漢と湖北民族学院(大学)に行ってきました。

 今回の最大の目的は、湖北民族学院・医学院の客員教授に就任することです。湖北民族学院は中国の国立大学で、湖北省の恩施市にあります。恩施市は武漢の西南にあり、湖北省の中の恩施土家族苗族自治州の最大都市です。

 多民族国家の中国では政府が認定している民族が56あり、人口の94%が漢族、その他の55民族が少数民族です。中国政府は少数民族が集住する地域で限定的な自治権を認めるという「民族区域自治」政策をとっています。湖北省にある恩施土家族苗族自治州は、そのような自治区の一つです。

 湖北民族学院・医学院の袁徳培院長によると、中国には13の民族大学があり、その中で医学院があるのは、チベット、内モンゴルと湖北の3大学だけだそうです。

 湖北民族学院は今年で70周年になる歴史のある国立大学で、学生は約18000人、大学院生は約3800人いるそうです。下の写真は、湖北民族学院医学院です。

 私の恩師の寇華勝先生が5年前に教授に就任しており、今回は寇華勝先生の推薦で客員教授に就任することが出来ました。もちろん国立大学ですので、きちんと論文を提出して、審査を受けました。提出した論文は「日本民族的一貫堂医学」というタイトルです。下の写真は、客員教授就任式と客員教授の証書です。

 いろいろな論文を考えたのですが、民族大学ですので、日本民族独自の体質医学である一貫堂医学をまとめました。一貫堂医学は解毒・排毒により、特にアレルギー疾患、アトピー、膠原病、メタボリック症候群などにとても良い効果があります。この解毒・排毒は、現在の流行で言えばデトックスといえます。一貫堂の解毒・排泄は非常に優れており、最高のデトックス法といえます。

 さて、少数民族の医学としては、日本ではチベット医学、モンゴル医学などが有名ですが、土家族や苗族にも独自の医学があります。「実用土家族医薬」によると、土家族は密林渓谷などで生活してきたため、毒蛇の治療や外傷・骨折の治療に大きな特徴があるようです。また、自然界と人体には密接な関係があると認識しており、「三元論」という考えがあるようです。つまり、人体と天、地、水の三元は相応しており、人体の上元、中元、下元の陽気不足に、毒邪が乗じて疾病が発症すると考えます。よって「培元補元」を行い、「排毒清毒」することを治療原則としています。

 このような毒邪を排泄するという治療法は、一貫堂医学と共通している部分があります。西洋医学の影響を受けていない世界の伝統医学には、かなり共通した部分があるようです。

 今回の民族大学の訪問で、中医学は少数民族の医学とも融合されており、非常に奥が深いことを改めて学びました

掲載:マイドゥー 2008年9月号