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女性のトラブル ―更年期障害について1―

 今回は更年期障害についてお話します。「黄帝内経」という漢方の古典に女性は35歳になると次第に肌の艶や、髪が衰え初め、42歳で白髪が目立ち初める。そして49歳で閉経するという記載があります。「黄帝内経」によると、女性の体は7年周期で変化し、その変化は腎精と呼ぶものによってコントロールされていると考えられています。腎精は卵巣の働きと関係が深いので、卵巣の老化は35歳前後から始まるのです。そして40代中ごろから生理の不順が始まり、50歳前後で閉経するのが普通です。

 更年期は一般に45歳から55歳前後のほぼ10年間をさします。この時期には次から次にいろんな症状が現われます。多彩な症状をおおまかに分けると、以下の4つがあります。

1.膣の乾燥、性欲減退などの卵巣機能低下による女性ホルモン不足の症状

2.冷えとのぼせ、汗かき、ほてり、動悸などの自律神経失調と思われる症状

3.不安感、落ち込み、焦燥感、不眠など精神神経症的な症状

4.頭痛、肩こり、血圧上昇、高脂血症、肥満など血行不良からくる症状

 漢方医学ではこのような多彩な症状は肝、腎の働きの低下や相互関係の乱れによるものと考えている。そのため更年期障害の基本となる肝、腎を整えて体質から改善することを考えます。しかし症状がひどい場合は、症状を改善する漢方薬も併用します。

 1.のタイプは、更年期年齢のため、卵巣機能が低下して女性ホルモンが減少しています。肝腎を補い女性ホルモンの減少を和らげる効果のある、六味丸(ろくみがん)、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)、瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)、天王補心丹(てんのうほしんたん)などを症状によって使い分けます。

 2.3.のタイプは、ストレスや環境の変化が多く、自律神経や精神状態が不安定です。肝の働きを高めて気血のめぐりを良くする、星火逍遥丸(せいかしょうようがん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、抑肝散(よくかんさん)などが効果的です。

 4のタイプは、年齢や生活習慣により血液がドロドロになっています。血液をサラサラにする冠元顆粒(かんげんかりゅう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、獅帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)などが効果的です。

 次回は更年期の予防法や骨の強化法、ホルモン療法の是非についてお話します。

掲載:マイドゥー 2005年11月号