今回から最近のライフワークとなっている手相漢方についてお話します。
手相漢方は私の造語で、中国では掌紋医学といわれています。掌紋医学は名前のとおり手の平の掌紋を見て、診断することです。掌紋というと手相を思い浮かべる方が多いと思いますが、現在中国で行われている掌紋医学は手相とは一線を画しております。手相は運勢を見る占いで、掌紋医学は病気を診断する医学と考えています。
掌紋を見ることは共通していますので、線の名前や解釈も共通しているとことがありますが、手相では仕事運や財運を見る線が掌紋医学では病気を見る線になっているケースもあります。
現在中国で掌紋医学を行っている中医師は増えてきているようですが、王晨霞先生と趙理明先生が著書も多く、第一人者と思われます。私は幸運にも昨年の5月と9月に両先生から直接教えてもらう機会に恵まれました。教えを受けた中で、掌紋医学と手相の共通点を多く感じましたが、両先生とも手相と掌紋医学が違うことを強調していました。
私が思うに、現在の中国は政府が占いを禁止しているため、占いを迷信として考えている人も多くいます。そのため、占いと掌紋医学が違うことを必要以上に強調しなくては世間に認められないのではないかと感じました。
さて、掌紋医学と東洋手相は易や形相学からの発展ですので、源は同じといえます。中国での掌紋医学は長い歴史がありますが、中医学の診断としては脈診や舌診と比べると発展しませんでした。やはり占いと医学の狭間にあって、中医学の診断としては正式に認められなかったのではないかと想像しています。実際に王晨霞先生も趙理明先生もそのようなことを言っていました。両先生とも掌紋医学の診断に誇りを持っていましたし、実際によく当たっています。占いとの狭間で発展が遅れたことを残念に思っているようでした。
私が掌紋医学を学んだ感想は、とても実践的で実用価値が高いということです。中医学の診断でスタンダードの脈診や舌診と比べても、勝るとも劣らない診断法だと思います。
掌紋医学の特徴は(1)目で見れること、(2)臓腑定位ができること、(3)過去の病歴や将来の予測ができること、などがあります。
以上のことを考えると、掌紋医学こそ日本の環境に最適で、大きな可能性を秘めていると思っています。私も日々薬局店頭で掌紋医学の研鑽をして、手相漢方として発展させるように努力したいと思っています。
掌紋診断をご希望の方は、漢方相談のご予約の際にお申し付けください。
掲載:マイドゥー 2010年2月号