去る11月2日〜11月6日にかけて武漢研修に行ってきました。今回の研修の目的は、湖北中医医院での婦人科研修、婦宝当帰膠を製造している武漢中聯(ちゅうれん)薬業公司本社の訪問、李時珍のお墓参りの3つです。武漢は私の11年来の恩師である寇華勝先生と林建豫先生の故郷で、今回の研修は寇華勝先生に案内していただきました。
武漢市は湖北省の省都で、人口749万人の中国・中原の大都市です。武昌、漢陽、漢口の三鎮(町)から成り、漢の時代から、南北朝、元、明と一貫して中国の水陸交通の要として栄えてきました。日本で言えば、中部の大都市で交通の要衝である名古屋と似ています。
武漢空港 | 中国3大楼として有名な黄鶴楼 |
11月3日は湖北中医医院での婦人科研修です。今回は黎裂栄(リ・レツエイ)教授より、午前中は講義を受け、午後からは臨床を見学しました。黎裂栄教授は中医婦人科の大家である、故・黄縄武先生の一番弟子で、年齢は50代中頃ですが豊富な臨床経験を誇っています。一昨年訪問した南京の夏桂成先生とも交流があり、周期療法についての造詣も深い先生です。臨床スタイルは弁証論治派で、中医学の弁証論治と主とし、西洋医学の病名を参考にして、高い臨床効果を上げています。午後から約3時間臨床見学をしましたが、処方内容より非常に高レベルであることが伝わってきました。参考までに、多嚢胞性卵巣(PCOS)で無月経の36歳の患者に著効のあった処方を記載します。
夏枯草30g、海藻10g、遵苡仁30g、熟地黄15g、丹参15g
淫羊霍15g、当帰12g、補骨脂15g、赤芍薬12g、貝母12g
鹿角霜12g、仙茅15g、山査子15g、車前子10g、麦芽30g
上記は、補腎、化痰散結、活血化淤の効果を持つ薬草をバランスよく配合しており、多嚢胞性卵巣の病態に適合しています。また、夏枯草・海藻・遵苡仁・貝母の配合は、黎先生の経験による配合ということです。その他にも卵巣機能低下による排卵障害に「育宮丸」、子宮内膜症に「散結定痛膠嚢」など、独自の中成薬を開発して臨床効果を高めていました。
黎先生の講義風景 | 周期療法に関する講義スライド |
講義を通訳する寇華勝先生 | 黎先生と寇華勝先生(診察室で) |
今回一緒に学んだ、友人の土屋幸太郎先生のサイトも参考にしてください。