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漢方薬の安全性

 少し前の話になりますが、肝炎における小柴胡湯の副作用が新聞紙上で話題となりました。漢方薬には副作用がないと思いこんで服用していた人にはショックなことだったと思います。

 小柴胡湯は、もともとは傷寒論という中国の古典の中に感冒をこじらせたとき(少陽証という)に使う方剤として記載されています。この時の症状は、胸脇部(わき腹)の張り、寒気と発熱を繰り返す、口の苦み、吐き気、食欲不振等ですが、これは一部の肝炎の症状と似ており、また、小柴胡湯の主役の柴胡が肝臓に帰経(親和性が高い)するため、肝炎に使われるようになったと思われます。

 実際、証が合えば一部の肝炎に有効ですが、中国ではそれほど多くは使われていません。中国では肝炎を多くのタイプに分類し、それぞれのタイプにあった処方を用いて治療効果を上げています。


 また、小柴胡湯は中国漢方から見ると、使ってはいけない(禁忌)タイプがあります。体がやせてきて津液(体の水分)が少なくなってきている人(陰虚体質)です。このような人は慢性病の後期や老人によく見られます。

 今回の小柴胡湯の症例をみると、肝炎の末期の人がほとんどです。つまり、この陰虚体質の人であったことが予想されます。少しでも中国漢方を学んでいれば、今回の副作用は未然に防げたと考えると残念な思いがします。

 中国漢方はWHO(世界保険機構)も認める正統な伝統医学であり、中国漢方の宝は中医学理論です。中医学理論を学び、マスターして初めて漢方薬を有効に使うことができます。そして、中医学理論に基づいて、正しく使えば、漢方薬は安全な治療法と言えます。

 一般に漢方薬は長く服用しないと効かないと思われていますが、決してそうではありません。感冒のような急性病には速効を示します。一方、慢性病に対しては自然治癒力を高めることにより、体質を改善し、確実に効いていきます。

 高齢化社会、ストレス社会によって、慢性病や生活習慣病に悩む人にとって、中国漢方は西洋医学を補って、もう一方の柱となる治療法であると言えるでしょう。

 中国には気功、薬膳、針灸、漢方薬などいろいろな治療法があり、気功や薬膳は家庭で気軽に行える健康法です。病気の予防に日常から行えば健康に役立つと思います。漢方薬については、中国漢方の専門家と相談のうえ、服用することをお薦めします。