なぜ太るか
人間は生きている限り新陳代謝を行っています。漢方医学では気の働きによって代謝が活発になると考えられています。代謝が活発であれば体内に入った食べ物が栄養として細胞にいきわたり、燃焼して不要な物は尿や大便、汗などより排泄されます。
この代謝が活発で不要な物が排泄されるということが非常に重要です。カロリー第一主義の現代栄養学では食べた食事のカロリーより運動などで消費されるカロリーの方が大きければ痩せると考えています。これは間違いではないのですが、食べ物の性質や日本人の体質を考慮に入れていないため、時として誤ったダイエット法が出てくるのだと思います。主食を減らすようなダイエットは長続きせず、長い目で見ると痩せにくい体質を作ることもあるといわれています。漢方医学では代謝を活発にすることを重視します。
新陳代謝が活発で老廃物が燃焼して排泄されれば、気血水の流れが良くなり健康的に痩せると考えます。
いかに代謝を高めるか
体に取り入れられたエネルギーは1.基礎代謝2/生活活動代謝3.食事誘発性熱代謝の3つがあります。1,2の代謝については、体温の低下と筋肉量の減少が大きな問題になります。この代謝がうまくいかない状態を「産熱障害」といいます。
体温が1℃下がると基礎代謝は約12%減少するといわれていますので、大変なことなのです。漢方医学ではこれを冷えにより気の働きが低下して、その結果血や水が停滞して老廃物が排泄されずに太ると考えています。
1の代謝をあげるためにはダンベル体操などの筋肉に負荷をかけて筋肉量を増やす運動が効果的です。2の代謝をあげるためにはウォーキングや水泳などの有酸素運動が効果的です。このことは誰でもわかっていますが、3の食事誘発性熱代謝のことはあまり知られていません。実はこのことはダイエットの上でとても大切です。漢方医学では食べ物には温性食、寒性食、中性食に分けることができると考えています。温める食べ物は食事によって発生する熱が高く、ダイエットに良いといわれています。
漢方コラム
太る原因についてを参照してください。
肥満を計る基準について
1.BMI(BMI=体重(kg)÷身長(M)の2乗)
日本語では体格指数。身長と体重のバランスにより肥満度を量る方法で、国際的にも広く使われています。
日本肥満学会では20未満:やせ、20~24:標準、24~26.4:やや肥満、26.4以上:肥満としています。BMIは国際標準ですが、小柄な体形が多い日本人には適さないことがあるといわれています。
2.体脂肪
体重に対して脂肪の占める割合。見た目や体重には関係なく、見た目がスマートであっても体脂肪率の高い人は内臓に脂肪のついた「隠れ肥満」であることが多いです。
筋肉量や骨量を落さずに体脂肪率のみを減らすことが健康的に痩せるためには重要です。
男性は15%未満:やせ、15%~20%:標準、20%~28%:やや肥満、28%~35%:肥満、35%以上:高度肥満としています。
女性は20%未満:やせ、20%~30%:標準、30%~35%:やや肥満、35%~40%:肥満、40%以上:高度肥満としています。
3.りんご型肥満と洋ナシ型肥満
脂肪がお腹の周りにつく肥満をりんご型肥満といいます。ウエスト÷ヒップ=0.8以上(女性)1.0以上(男性)ですとこの肥満型です。このタイプは男性に多く、ビール腹や中年太りなどと言われています。漢方医学では欧米食などの食べ過ぎで老廃物がたまり、血や痰湿がたまっていると考えます。
一方、腰から下に脂肪のつく肥満を洋ナシ型肥満といいます。ウエスト÷ヒップ=0.8以下(女性)1.0以下(男性)ですとこの肥満型です。思春期以降の若い女性に多く見られ、下腹部やお尻、太ももなどがふっくらします。漢方医学ではこのタイプは代謝が悪く体の冷えがあると考えます。
タイプ別中国漢方ダイエット
1.リンゴ型肥満
このタイプは欧米食や甘い物、辛い物などを食べ過ぎて、内臓に老廃物がたまり代謝が追いつかない状態です。漢方医学では湿熱型、淤血型と考えています。
つまり湿熱や淤血という老廃物が体内に溜まっている状態ですので、大便や尿、汗などから老廃物を排泄することを中心に考えます。
*代表漢方薬:防風通聖散、大柴胡湯、九味檳榔湯、温胆湯、通導散、田七など
2洋ナシ型肥満肪
このタイプは冷えて代謝が低下している状態です。それほど食べ過ぎてはいないのに、下半身を中心に太っています。場合によってはむくみに近い状態で、「水を飲んでも太る」といわれるタイプです。漢方医学では気虚型、痰湿型と考えています。
代謝が低下し、痰湿(水毒)が溜まっている状態ですので、体を温めて代謝を活発にすることを中心に考えます。
*代表漢方薬:防己黄耆湯、当帰芍薬散、二陳湯、胃苓湯、六君子湯など
漢方コラム
りんご型肥満と洋ナシ型肥満を参照してください。
ダイエットの補助食品
ダイエットを成功させるためには補助食品は大変重要です。体質や食生活に合わせて上手に活用すると効果的です。
1.りんご型肥満、洋ナシ型肥満ともにお薦めの補助食品
いずれのタイプも体脂肪を燃焼させることは大切です。チベットで取れる柳茶というハーブに体脂肪を燃焼する効果が高いことがわかっております。この柳茶を主薬とした
三爽茶はダイエットに最適のハーブティーです。また
スリムアップスリムや
玄米珈琲ブラックジンガーは、低カロリーでダイエットに最適の補助食品です。1日1食~2食スリムアップスリムに変えるだけで理想のダイエットができます。また、玄米珈琲ブラックジンガーは多孔質構造を持つため、腸内の汚染物を吸着して排出する作用があるので、ダイエットや宿便にも最適です。
2.りんご型肥満にお薦めの補助食品
食物繊維は糖分や脂分の吸収を阻害する働きがあるのでおすすめです。
2.洋ナシ型肥満にお薦めの補助食品
体を温めて代謝を活発にする発酵食品が効果的です。沖縄の伝統的な銘酒「泡盛」を蒸留した際に生じる「もろみ」から作られる琉球もろみ酢は、クエン酸、各種アミノ酸、ビタミン、ミネラルが含まれており、お薦めできます。
ダイエットを成功させる食生活
食生活の基本的なポイントは、
1.よく噛む(一口30回)
2.未精白の穀物(玄米、発芽玄米、そばなど)を主食として、野菜や大豆製品、魚などを副食とする和食にする
3.夜間の空腹明けの朝食は軽くする(野菜ジュースなど)
4.2食~3食をしっかり取り、間食はしない
などになります。上記の4ポイントを実行したうえで以下のタイプ別の食事を行ってください。
2.りんご型肥満
食物繊維の多いコンニャク、海藻類(わかめ、ひじき、もずく、昆布など)きのこ類(しいたけ、エノキ、マイタケなど)根菜類(大根、ゴボウ、ニンジンなど)を副食として選ぶ。豆腐や里芋、ほうれん草、キュウリ、小豆などは体内の熱をさまし老廃物の排泄を助けます。飲物はお茶や玄米茶がお薦めです。
2.洋ナシ型肥満
体を温める根菜類(ニンジン、ヤマイモ、レンコン、ゴボウ、カボチャなど)発酵食品(納豆、味噌、梅ぼし、お漬物など)薬味(生姜、ネギ、玉ねぎ、唐辛子、ニンニクなど)魚介類(アジ、サンマ、さば、イワシ、チリメンジャコ、明太子など)を副食として選ぶ。濃い色(赤、橙、黒)の食べ物、北方産の食べ物、固い根菜、天然塩を使った食べ物などは体を温めて代謝を高めます。飲物は紅茶や昆布茶、梅醤番茶などがお薦めです。
漢方コラム
健康にやせるための食生活を参照してください。
ダイエットを成功させる運動法
食生活の基本的なポイントは、
ダイエットの運動は、筋肉をある程度つけた上でウォーキングなどの有酸素運動をすると効果的です。筋肉の働きは、骨格の維持や臓器の維持に関わるだけでなく体温の維持、糖や脂肪の分解なども行っています。しかも唯一基礎代謝をあげるために自分で努力できるところなのです。
1.筋力をアップさせる運動
ダンベル体操や筋肉に軽く負荷をかける運動が効果的です。例えば椅子に座ったまま片方の足を水平にあげ、ひざを伸ばしたまま足の甲を上下させる運動などはふくらはぎ、太ももを引き締めることができます。このとき、やせたい部分に意識をもっていくことが大切になります。普段、立っている時でもおへそに力を入れる感じで姿勢良くしているだけで背筋の運動になります。
2.筋肉を使ってエネルギーを消費させる運動
ウォーキングや水泳、太極拳などの有酸素運動が効果的です。ただし、冷え症の方は水泳は向いてないなど自分にあった運動を探すことから始めましょう。
呼吸を止めて運動をすると、筋肉痛の原因となる乳酸がたまり、運動が長続きしなかったり、かえって体を痛めることになるので気をつけましょう。
参考資料: プチ断食ダイエット、朝だけニンジンジュースダイエット、ビタミンダイエット