「花粉症」は、花粉が原因(抗原・アレルゲン)で起こるアレルギーの一種で、原因物質に触れると、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみ、涙目、充血などの症状が現れます。花粉症の原因となる植物は、風によって花粉が運ばれる「風媒花」というタイプの植物で、樹木や草花など何十種類にも上ります。 そのなかでもスギ花粉によるものが最も多く、花粉症全体の約8割を占めているといわれています。花粉症が増えている背景には、現代社会特有の誘因もあります。例えば自動車の排気ガスをはじめとする大気汚染は、目や鼻やのどなどの粘膜の過敏性を高め、アレルギーを起こしやすい体質にします。
さて花粉が多くても何も症状がない人もいれば少しの花粉でもひどい鼻炎をおこす人もいます。中国医学ではこのような体質の違いを重視して治療を行ないます。花粉症の治療は寒証と熱証に分けて考えます。冬の寒い時期におきる花粉症は鼻水が透明あるいは白く、さらさらしており目の充血はそれほど目立たないことが多く、寒証に属すると考えます。冬の終わりから春にかけておきる花粉症は鼻水が白く濁ったり黄色くなることもあり、目の充血が目立ってくることが多く熱証に属すると考えます。時期だけでなく体質によっても症状が異なり、普段から胃腸が弱く冷え性の体質の人は寒証が表れることが多く、普段から辛いものや油物を好み熱かこもっている体質の人は熱証が現れることが多くみられます。
寒証は体を温めてくしゃみ、鼻水を抑える小青竜湯、麻黄附子細辛湯、川きゅう茶調散などに鼻の通りを良くする鼻淵丸、エンピーズなどを併用します。胃腸が弱い方は、麻黄の入っていない苓甘姜味辛夏仁湯や参蘇飲を使います。
花粉症の始まる時期の少し前から体質に合わせて衛益顆粒、補中益気湯、インターパンチなどを服用すると、粘膜が丈夫になり、花粉症の時期になっても症状がおきにくくなります。
*漢方コラム「花粉症の予防と漢方治療」も参照してください。