エゴグラム

エゴグラムを用いた自己変革について

自己を変えるために

次のようなことに配慮して自己を変えるための計画を立てるとよいと思います。

1.目標をはっきりさせる

現実のエゴグラムの上に、「こうありたい」と望む理想のエゴグラムを描いてみます。次にどの箇所をどのように変えたいか考えます。一般にNPとFCを高くして、ACをそれよりも低くする方向に目標を定めるのがよいとされています。

2.高い箇所を縮めるより、低い箇所をのばそうとする。

人生の諸問題にぶつかったとき、もっともその人らしい行動を起こすのは一番高い箇所です。人格の主導権を握っている優位な箇所を無理に縮めようとしてもなかなかうまくいかないようです。むしろ低いところを伸ばしていくとよいようです。

3.変化を妨げるものに気づく

行動や人格の変化には抵抗がつきものです。変わりたいが、変わることは苦痛だからイヤだという葛藤が生じます。エゴグラムから見ると変化を妨げるのは一番高い箇所です。そのジレンマを理解して、自分のできる範囲で根気よく変わっていくことが大切になります。

各領域を変える方法

CPの上げ方

CPの低い人は自分を主張することができずつい相手に譲ってしまう傾向があります。厳しいことを言わず人には寛大なところが多く、相手に合わせて行動するので波風は立ちません。CPが低い人は親になったり人を管理する立場になったとき、指導力のなさを感じる事があります。CPが上がると自分の価値観に基づいた自分なりの生き方ができるようになりますが、CPを上げても健康面ではあまり役に立たないことが多いです。
◇軽はずみな冗談はなるべく慎み、できるだけ無駄口をきかない努力をします。

　いったん口にしたらその意見を簡単に引っ込めないようにしてください。
◇時間やお金に厳格になってください。約束の時間は守り、相手がそれを破ったらきちんと
　理由を聞くようにしてください。
◇生活の時間割をたてて、可能な限りそれを守るようにしてください。

NPの上げ方

NPの低い人は人の世話をしたり人をほめることがほとんどありません。周りの人からは冷たい人と思われやすく、親しく付き合える人の数も少なくなります。しかしこちらから相手に親切に働きかけるとNPが高くなり、持ちつ持たれつの人間関係に発展していくようになります。

◇ご主人やお子さん、恋人などのためにおいしい料理を作ってみてください。
　料理学校に行くのも役立ちます。
◇小動物や草花などを心を込めて育ててみてください。
◇他人へのサービスと親切を心がけてください。人の失敗や欠点を責めず、よいところを
　ほめてあげましょう。
◇自分からすすんで挨拶をしてください。小さな贈り物をしたり、優しい言葉をかける
　ようにしてください。

Aの上げ方

Ａが低い人は計画を立て、冷静にかつ合理的に行動していくことが苦手です。その時の気分や思いつきで行動しやすく、仕事面でも緻密さに欠けます。気楽に生きていくよい面はありますが、人からの信頼が今一つ足りないのです。現代を生き抜いていくためには、ある程度のＡの高さが必要です。
◇ＮＨＫのニュースや科学番組などをつとめて見るようにしてください。
　新聞の社説を読んで考えることや推理小説を読むことも役に立ちます。
◇家計簿や日記をきちっとつけてみましょう。手紙を書くこともよいでしょう。

◇囲碁や将棋などの論理的なゲームやパソコンを覚えることも役に立ちます。

FCの上げ方

ＦＣが低い人はいきいきとした自然の感情をうまく表すことができません。バイタリティーに欠けているため面白みのない人間になりがちです。人同関係が形式的になりやすく、心の交流ができにくくなります。無邪気だった子供の頃を思い出して自然な楽しい心を強めるとＦＣも高くなっていきます。
◇マンガやユーモア小説を読んだり、バラエティー番組を見るようにして、１日１回は
　 笑うようにしてください。
◇自分の好きなスポーツや芸術（絵、音楽、俳句など）を楽しんでください。
◇おいしい、うれしいなどの感嘆詞を積極的に使うようにして下さい。
◇人の顔を見てどんな動物に似ているか想像したり、楽しい空想をときどき楽しんだり

　してください。

ACの上げ方

ACの低い人はがんこで周りに合わせようとしません。自分中心になりやすく、他人への配慮に欠けるため人とよく衝突を起こします。自分を主張することもよいですが、相手のことも考える必要があります。相手に対するちょっとした配慮を心がけることで今までより人間関係がスムーズになり、あなたの望むことが実現されやすくなります。
◇できるだけ相手の話をよく聞いて、その間は相づちを打つようにして、自分の意見は
　後にするようにして下さい。
◇テレビや映画を見ながら、主人公に合わせて喜び、悲しみ、怒りなどを同じように

　表現してみてください。
◇何かをするとき相手に気遣って行動し、相手の顔色を確かめたり、相手の気分を害さない
　ように心がけてください。

理想のエゴグラムはあるのか

エゴグラムを使った考え方では「他人と過去は変えられない」と考えます。変わることができるのは自分です。だれとでも合って十分に自分を表現できる生活が望ましいわけです。自己表現の十分にできるエゴグラムが理想的なエゴグラムと言えるのではないでしょうか。そう考えるとＦＣが高く相対的にＡＣがそれより低くなるでしょう。ただしＦＣのみ高ければわがままとなる恐れもあありますのである程度Ａが高いことも必要です。Ａが高いだけではしばしば冷たい人間に見られるので、ＮＰのあたたかさが必要となります。そして自己規別ならびに相手の立場を配慮するという意味でＣＰ・ＡＣのある程度の高さも必要となります。また自己表現という意味からして、全体的なエネルギーは高い方が望ましいでしょう。これらよりNPを頂点として全体的に高い山型が理想的なエゴグラムと考えられています。ただし職業や立場によって取るべき行動も変わってきますので、あくまで参考にしていただけるとよいと思います。

参考文献：交流分析入門、交流分析とエゴグラム、交流分析療法