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気・血・水について -漢方基礎知識-

水について

1.中国漢方で考える水とは?

i 水とは何か

水は津液とも言われ体内における各種の正常な水液の総称です。汗、鼻水、涙、唾液、尿、胃液、胆汁、髄液、関節液、リンパ液、細胞間液などすべて含まれます。澄んでさらさらした物を「津」、濁ってねっとりしている物を「液」と呼び区別することもあります。津は全身を滋養し、体外には涙、汗、鼻水などとして現れます。液は骨、筋膜、頭蓋の中にあって関節を滑らかにし脳髄を滋養しています。水は小児では体重の約70%、成人でも約60%を締めており、人体を潤す大切な物質です。

ii 水はどのように作られるか

津液は飲食物を脾胃で消化吸収して得られる水穀の精微から化生したものの1つです。津液の輸布および排泄は、三焦を通路として、肺の宣発・粛降、脾の運化、腎の気化などを通じて行われています。

iii 水の働きとは

津液には滋潤・滋養作用があります。体表に散布された津液は皮毛や肌膚を滋潤し、体内にある津液は臓腑を滋養しています。また孔竅に入る津液(涙、鼻水、唾液など)は目、鼻、口などを滋潤し、骨髄に入る津液は骨髄と脳竅を滋潤し、関節に入る津液は関節の動きを滑らかにしています。  
津液は全身に分布しているため、生成・輸布・排泄に異常が出ると多くの臓腑の機能に影響を与えます。

2.水の病気の治療法

i 陰虚(水の不足)

1.陰虚の原因:
飲食の不摂生、栄養不良、燥熱の邪気、胃腸虚弱、発汗過多排尿過多、慢性下痢、発熱、過労、久病など
2.陰虚の症状:
口渇、手足のほてり、心煩、皮膚の乾燥、目の乾き、寝汗、舌は紅、苔は少なく乾燥、脈は細数
3.陰虚の治療法:
陰を補う薬草:地黄、山茱萸、五味子、沙参、麦門冬、西洋人参など
陰を補う処方:六味丸、杞菊地黄丸、麦門冬湯、天王補心丹など
陰を補う食べ物:ヤマイモ、キクラゲ、百合、梅、すっぽん、もも、なし、びわ、牛乳

ii 痰飲(水の運行の失調)

1.痰飲の原因:
飲食の不摂生、湿の邪気、排尿困難、臓腑機能低下による津液の代謝不良、過労、久病など
2.痰飲の症状:
めまい、頭重感、喘咳、心悸、嘔吐、下痢、浮腫、関節の腫れ、舌は淡~淡紅、苔は白く厚い、脈は滑あるいは濡
3.痰飲の治療法:
痰飲を改善する薬草:茯苓、沢瀉、猪苓、半夏、陳皮、蒼朮、よく苡仁、車前子、防己など
痰飲を改善する処方:猪苓湯、五苓散、真武湯、半夏白朮天麻湯、苓桂朮甘湯、沢瀉湯、温胆湯など
痰飲を改善する食べ物:キュウリ、あずき、ハトムギ、トウモロコシ、トウガン、インゲン、アサリ、シジミ、ハモ、フナ、スイカなど