漢方相談フリーダイヤル
0120-29-8866

病因について -漢方基礎知識-

HOME 病因について 外因について

外因について

外因とは体外より入ってくる病邪を指しています。中国医学では細菌やウイルスという概念はなく、長い臨床観察の経験から外からの病因は季節との関係が深いと考えました。季節の変化により風・寒・湿・暑・燥・熱という六つの邪気があり、六淫と呼ばれています。

1)風

風は春の主気でありますが、四季を通じて見られます。風邪の特徴は以下の通りです。

1.風は陽邪、性は開泄、上部を侵しやすい  
風邪はよく動き、特性は昇発・外泄であります。頭痛、鼻水、咽喉掻痒、涙など上部の症状があらわれやすいです。
2. 風は良くめぐり、よく変わる  
風邪の症状は部位が遊走不定で、時に出たり時に消えたりします。発病が急で症状の変化も早いです。
3. 風は百病の長である  
風邪は六淫の中でも主要な発病因子であり、寒・湿・燥・熱などの邪気は風邪と合わさり風寒・風湿・風燥・風熱となり人体を侵します。風邪は外感病の先導者といえます。

2)寒

寒は冬の主気であります。冬季以外でも雨に濡れたりクーラーに当たりすぎることにより寒邪を受けることがあります。寒邪の特徴は以下の通りです。

1. 寒は陰邪,陽気を損傷しやすい
寒が盛んになると陽気は衰え、体内の陰陽のバランスが崩れます。寒邪が脾胃を侵すと腹痛、嘔吐、下痢などがおきます。心腎を侵すと寒がり、頻尿、気力の低下などがおきます。
2. 寒は凝滞の性質がある
寒は気血を凝集して流れを悪くします。流れが悪くなると「不通則痛」より様々な疼痛症状が出ます。
3. 寒は収引の性質がある
寒は経絡や筋肉を収引して筋肉の痙攣や痛みをおこします。関節を収引すると屈伸不利や痛みをおこします。

3)湿

湿は長夏の主気であります。日本では梅雨の時期にあたり、湿の最も多い時期となります。湿邪の特徴は以下の通りです。

1.湿は陰邪、気機を阻害しやすく脾胃の陽気を損傷しやすい
湿が臓腑経絡に滞ると気機を阻害して、お腹の張りや大便がすっきりしないという症状が出ます。脾の陽気を損傷すると、食欲不振や下痢軟便などの症状が出ます。
2.湿は重濁・粘滞の性質がある
湿を受けると頭や身体が重い、四肢がだるいという「重い」という症状が出ます。濁とは排泄物や分泌物の汚れのことで、目やに、粘液便、小便混濁、おりものの異常、湿疹の分泌物などがあります。また粘滞の性質があり、湿の病気は粘っこく治りにくく繰り返し再発することが多くあります。
3.湿は下降しやすく、下部を侵しやすい
湿は水の流れのように下に向かう性質があります。そのため浮腫、下痢、おりもの、膀胱炎などのように下部に現れることが多く見られます。

4)暑

暑は夏の主気であります。暑邪は夏のみに見られます。暑邪の特徴は以下の通りです。

1.暑は陽邪、炎熱の性質がある
暑は炎熱の性質があるため、高熱、面赤、大汗、口渇などの症状が見られやすい。
2.暑は昇散の性質があり、気・津を消耗しやすい
暑を受けると汗が発散されます。汗とともに気と津液が消耗され、口渇喜飲、息切れ、脱力感などの症状が見られます。酷くなると人事不省、四肢の痙攣などが現れます。
3.湿を伴いやすい
夏は温度、湿度ともに高くを、湿邪伴うことも多く見られます。湿邪を伴うと四肢のだるさ、お腹の張り、下痢などの症状が見られます。

5)燥

燥は秋の主気であります。燥邪は口鼻から入り肺衛から侵します。燥邪の特徴は以下の通りです。

1.燥は乾燥性があり、津液を損傷しやすい
燥邪は人体の津液を最も消耗させやすく、口鼻の乾き、空咳、皮膚の乾燥などの症状が見られます。
2.肺を損傷しやすい
肺は矯臓で、潤を喜び燥を嫌います。燥邪が人体を侵すときは多くは口鼻から入り肺を侵します。咳喘、粘っこい痰などが良く見られ、酷くなると血痰、喘息などが見られます。
3.湿を伴いやすい
夏は温度、湿度ともに高く、湿邪を伴うことも多く見られます。湿邪を伴うと四肢のだるさ、お腹の張り、下痢などの症状が見られます。

6)熱(火)

熱は陽が盛んになると生じます。他の風・寒・湿・燥の邪気が長期にわたり体内に鬱していると変化して熱となります。熱邪の特徴以下のとおりです。

1.熱は陽邪、炎上の性質があり気・津を損傷しやすい
熱は炎上の性質があるため、高熱、口渇、面赤、大汗などの症状が見られやすい。酷くなると不眠、発狂、神昏などが見られることもあります。また熱により気と津液が損傷されると口乾喜飲、息切れ、脱力感などの症状が見られます。
2.熱は生風、動血の性質がある
熱が肝陰を消耗すると筋肉が陰液の滋養を受けられなくなり、四肢の痙攣、頚項部の強直などの肝風の症状が見られます。また熱が脈絡を損傷すると、咳血、吐血、血尿、血便、皮下出血などの出血症状が見られます。
3.熱は瘡瘍を形成する
熱邪が深く血分に入り局所で血肉を腐食すると瘡瘍を形成して、局所の腫れや痛みが現れます。

付)疫癘

疫癘は外来因子の1つですが、六淫より強力な伝染性と流行性を持っています。疫癘の発病は急で症状も重篤です。疫癘の多くは空気、水、食物、汚染物などを通して、口鼻から人体に侵入します。疫癘の流行は気候の異常、自然災害、衛生環境、流行対策の適否などと密接な関係があります。
疫癘による疾病には猩紅熱、天然痘、コレラ、ペスト、ジフテリア、インフルエンザなどがあります。